2026.07.08 お役立ち情報
耐震等級3のメリットとは?取得する価値と費用面の注意点を解説
地震が多い日本において、家づくりを検討する際に「耐震性」は多くの方が重視するポイントです。住宅の耐震性を示す客観的な指標として「耐震等級」があり、その中でも最高レベルの強さを示すのが「耐震等級3」です。
建物を耐震等級3にすることで、大地震の際にも建物の倒壊リスクを下げ、大切な家族の命を守りやすくなります。また、地震保険料の割引や住宅ローンの金利優遇といった、金銭的なメリットを受けることも可能です。
一方で、より頑丈な家にするためには材料費や設計のための費用が追加でかかるほか、柱や壁の量が増えることで、希望する間取りが制限されるといった注意点も存在します。
本記事では、耐震等級の基本的な仕組みから、耐震等級3を取得するメリットとデメリット、そして安心して家づくりを任せられる住宅会社の選び方まで、わかりやすく解説します。
免責事項:本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の効果や条件の適用を保証するものではありません。実際の住宅性能や制度の適用については、各機関や住宅会社に直接ご確認ください。また、記載されている金利や制度の基準は2026年6月時点のものです。
目次
この記事でわかること
- 耐震等級1〜3の違いと、耐震等級3が持つ最高レベルの耐震性能の意味
- 耐震等級3を取得することで得られる安全面および経済面(保険料や金利の優遇)のメリット
- 建築コストの増加や間取りの制限といった、あらかじめ知っておくべきデメリットと対策
耐震等級3とは日本の住宅性能表示制度における最高レベルの耐震基準
耐震等級とは、地震に対する建物の強さを示す指標です。2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく「住宅性能表示制度」において定められています。住宅性能表示制度は、新築住宅の性能を共通のルールで第三者機関が評価し、わかりやすく表示する仕組みです。
建築基準法では、家を建てる際の最低限のルールとして、「まれに発生する地震(震度5強程度)で損傷しないこと」「ごくまれに発生する地震(震度6強から震度7程度)で倒壊・崩壊しないこと」が求められています。住宅性能表示制度では、この建築基準法のレベルを「耐震等級1」として基準化し、それに対する強度の倍率によって等級2と等級3を規定しています。
建築基準法と同等の強度(1.0倍)。震度6強〜7程度の地震で倒壊・崩壊しない程度。
等級1の1.25倍の力に対して、倒壊・崩壊・損傷を生じない強さ。
等級1の1.5倍の力に対して、倒壊・崩壊・損傷を生じない強さ。日本の住宅性能表示における最高等級。
耐震等級3を確保するためには、基礎の鉄筋を密にする、地震の揺れに耐えるための壁(耐力壁)を増やす、床や屋根を強固にするなど、より強い部材を多く使用した設計が必要です。
国土交通省の資料によると、住宅性能表示制度を利用して評価書を交付される住宅の割合は年々増えています。令和6年度には、新築住宅の約3戸に1戸(34.2%)が設計段階でこの制度を活用しており、客観的な品質の証明を求める方が増えている傾向が読み取れます。
出典)報道発表資料:新築住宅の3戸に1戸が住宅性能表示制度を活用!
耐震等級3を取得する4つの大きなメリット
大地震発生時でも倒壊リスクが低く家族の命と財産を守れる
耐震等級3を取得することの大きな利点は、大地震が起きた際の建物の変形や倒壊リスクを下げられることです。
2016年の熊本地震では、最大震度7の揺れが2度発生するという非常に大きな地震が起きました。国土技術政策総合研究所が熊本県益城町で実施した調査によると、建築時期や耐震基準の違いによって建物の被害状況に差が出たことが報告されています。
調査対象となった耐震等級3の木造住宅16棟のうち、14棟は被害がなく、残り2棟も軽微な被害にとどまり、倒壊や大破した住宅はありませんでした。これは、壁の量が十分に確保されているなど、高い耐震性を持たせるための設計が機能した結果と考えられています。
また、2024年に発生した令和6年能登半島地震の被害調査報告(速報)においても、建築年が新しいと見受けられる木造家屋は、周囲の古い建物が倒壊している環境下でも、外観上の被害が少ない事例が多数確認されています。木造住宅は繰り返しの揺れに弱い側面もありますが、耐震等級3の基準に基づく接合部や壁の強化が、建物の倒壊を防ぐ機能を果たしています。
出典)熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書
出典)令和6 年能登半島地震による木造建築物の被害調査報告(速報)
被災後も軽微な補修で住み続けられる可能性が高い
建物の倒壊を防ぐだけでなく、地震の後も自宅での生活を続けやすくなる(在宅避難が可能になる)点も、耐震等級3の重要なメリットです。
建築基準法(耐震等級1相当)は、震度6強〜7程度の地震に対して「倒壊・崩壊しない」ことを求めており、これは人命を守るための最低限の基準です。倒壊しなくても、建物に大きな損傷が入り、大規模な修理が必要になる可能性は残されています。
一方、耐震等級3はそれよりも高い基準で設計されているため、大地震の後でも内装の軽微な補修などを行うだけで、引き続き自宅に住める可能性が高まります。避難所での生活を避け、住み慣れた自宅で生活を再建できることは、被災後の大きな安心につながります。
さらに、住宅性能評価書を取得した住宅で万が一の建築トラブルが起きた場合、国土交通省が指定する住宅紛争処理支援センターの制度を利用できます。専門家への相談や、低価格での紛争処理手続きが利用できるため、長期的に家を守るための制度的な保護を受けられます。
地震保険料が半額(50%割引)になる優遇制度を受けられる
耐震等級3を取得した住宅は、地震保険の保険料が大幅に割引されるという経済的なメリットがあります。
地震保険の保険料は、建物の構造や所在地によって基準となる料金が決められています。この基本料金に対して、建物の耐震性能に応じた割引制度が用意されています。
品確法に基づく耐震等級を持っている場合、その等級に応じて以下のような割引が適用されます。
(1981年6月1日以降に新築)
耐震等級3の住宅であれば、地震保険料が半額(50%割引)になります。地震保険は数十年という長い期間にわたって支払い続けることが多いため、半額の割引が積み重なると、家計の負担を大きく減らす効果が期待できます。
この割引を受けるためには、住宅性能評価書などの公的な証明書類を保険会社に提出する必要があります。
出典)地震保険の保険料の割引制度について教えてください。 – 損害保険Q&A
住宅ローン(フラット35Sなど)の金利引き下げが適用される
耐震性の高い住宅を建てることは、住宅ローンの金利優遇にもつながります。代表的な例が、独立行政法人住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利型の住宅ローン「フラット35」における「フラット35S」という制度です。
フラット35Sは、耐震性、省エネルギー性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかの基準を満たす質の高い住宅に対して、一定期間のローン金利を引き下げる制度です。
耐震性の基準を利用する場合の引き下げ幅の一例は以下の通りです。
耐震等級3の住宅などを対象に、当初5年間の金利が年▲0.5%引き下げられます。
耐震等級2の住宅などを対象に、当初5年間の金利が年▲0.25%引き下げられます。
金利の引き下げは、毎月の返済額や総支払額を抑える効果があります。フラット35を利用するには、対象の建物が基準を満たしているかを第三者の検査機関が確認し、「適合証明書」の交付を受ける手続きが必要です。
耐震等級3を取得する際のデメリットと知っておくべき注意点
構造計算費用や壁量の増加による建築コストのアップ
耐震等級3の強度を持たせ、公的な証明を得るためには、一般的な基準よりも材料や手続きの費用が多くかかるという注意点があります。
建物の強度を等級1の1.5倍にするためには、基礎の鉄筋を太くして間隔を狭くする、地震の揺れに耐える壁(耐力壁)の枚数を増やす、柱や梁をつなぐ専用の金具を強くする、床や屋根を厚い板で補強するといった対策が必要です。これらにより、材料費や施工にかかる費用が上昇します。
また、耐震等級3を証明して地震保険の割引などを利用するためには、第三者の機関による審査を受ける申請費用がかかります。さらに、建物的強度を正確に計算するための「構造計算(許容応力度計算など)」を外部に依頼する場合、その設計費用も全体の建築コストに加わります。
柱や壁が増えるため間取りの自由度が制限される場合がある
地震に強い家にするために壁や柱の量が増えることは、希望する間取りをつくる際の制限になることがあります。
耐震等級3の家は、ただ壁を増やせば良いわけではなく、建物全体のバランスを考えて壁を配置しなければなりません。そのため、柱や壁をなくした非常に広いリビングを作りたい場合や、壁の一面をすべて大きな窓にしたい場合、ビルトインガレージを作りたい場合などは、必要な強度が確保できず、設計が難しくなることがあります。強度を計算した結果として、予定していなかった位置に柱や短い壁を配置しなければならないこともあります。
このような制限があるため、家づくりのプランを立てる段階で、耐震性と間取りの希望のバランスについて住宅会社とよく話し合うことが大切です。
耐震等級3の家づくりを安心して任せられる住宅会社の選び方
耐震等級3を「標準仕様」として提供している会社を選ぶ
耐震等級3の家をスムーズに建てるための選び方のひとつは、最初から耐震等級3を「標準仕様」としている住宅会社を選ぶことです。
標準仕様が建築基準法レベル(耐震等級1相当)の会社に、後から耐震等級3への変更をお願いすると、設計のやり直しが必要になったり、特別な材料を手配するための追加費用が予想以上にかかったりすることがあります。最初から等級3を想定して設計する会社であれば、必要な壁や柱の位置を前提としてプラン作りが進むため、後からの大幅な変更や想定外の費用アップを防ぎやすくなります。
一つの選択肢として、ヤマカ木材の展開する「ナチュリエ」ブランドでは、耐震等級3の取得を標準仕様としています。あらかじめ高い安全性をパッケージに組み込むことで、地震への備えを基本とした住まいづくりを進めることができます。
※ご希望のプランや自由設計の内容によっては耐震等級3が取得できない場合があります。
全棟で精度の高い「構造計算(許容応力度計算)」を実施しているか確認する
住宅の強さを確認するための計算方法には、いくつかの種類があります。会社を選ぶ際は、より詳しい計算を行っているかどうかも確認のポイントになります。
現在の法律では、一般的な木造2階建て住宅の場合、壁の量が足りているかを確認する簡易的な「壁量計算」だけで建築の申請を通すことが可能な場合があります。しかし、より確実に建物の安全性を確認するためには、「許容応力度計算」という方法が有効です。これは、地震や風などの力が加わったときに、柱や基礎などの一つひとつの部材が耐えられるかどうかを細かく計算する手法です。
法律で認められた簡易な計算だけでなく、手間をかけて詳細な構造計算を行っている会社を選ぶことは、安全性の裏付けになります。ヤマカ木材では、家の見えない構造部分の木材にもこだわりつつ、耐震性能を確保するために全棟で構造計算を実施するという手順を踏んでいます。
コストバランスと資金計画のアドバイスをくれる会社を選ぶ
耐震性を高めたり、良い素材を使ったりすると建築費用は上がりやすくなります。そのため、家の性能と予算のバランスを調整し、無理のない支払い計画を一緒に考えてくれる会社を選ぶことが大切です。
ヤマカ木材の「ナチュリエ」では、「家にお金をかけすぎないでほしい」という考えのもと、家づくりの費用を適正に保つ工夫を行っています。資材の仕入れの工夫や、自社で一貫して業務を行うことで中間費用を抑えるといった仕組みにより、価格を抑えつつ品質を確保する取り組みを行っています。また、無垢材などの自然素材の採用と、フラット35Sといった制度の活用を含めた資金計画のサポートを行っています。
※無垢材は木材の種類や条件により数値は異なりますが、コンクリートと比較して熱を伝えにくい性質があります。
- 月々4万円台からの家づくり
※借入額、金利、返済期間、自己資金などの諸条件により実際の支払額は異なります。 - 最長60年の長期保証
※定期的な点検の実施や、必要に応じた有償メンテナンスの実施などの適用条件があります。
性能と予算の最適なバランスを見つけるためにも、総合的なサポートを行っている会社に相談してみるのがおすすめです。
耐震等級3のメリットに関するよくある質問
耐震等級2と耐震等級3では強さにどれくらいの違いがありますか?
耐震等級は、建築基準法で定められた強さ(耐震等級1)を基準にして、その何倍の強さがあるかで規定されています。
- 耐震等級2は、等級1の「1.25倍」の地震力に耐えられる強さです。
- 耐震等級3は、等級1の「1.5倍」の地震力に耐えられる強さです。
計算上、耐震等級3の建物は、耐震等級2の建物が耐えられる力のさらに1.2倍の力に耐える余裕を持っていることになります。この物理的な強さの差が、大地震の際の被害を減らすことにつながります。
建売住宅でも耐震等級3を取得している物件はありますか?
一部の建売住宅(分譲住宅)では、耐震等級3を取得している物件があります。企業の方針として全棟で最高等級を取得している分譲住宅会社も存在します。
しかし、すべての建売住宅が取得しているわけではなく、建築基準法と同等レベル(耐震等級1相当)の仕様で建てられている物件も多くあります。そのため、建売住宅を検討する場合は、その物件が耐震等級3を取得しているか個別に確認する必要があります。最初から耐震等級3を標準としている注文住宅会社を選ぶ方が、性能を確認しやすい傾向があります。
耐震等級3であることを証明する書類はいつもらえますか?
耐震等級3などの性能を証明する書類は、主に2つの段階で発行されます。
- 1. 建物を建てる前の設計図が完成し、審査を通過した段階で
- 「設計住宅性能評価書」が発行されます。
- 2. 工事中に複数回の検査を受け、図面通りに完成したことが確認された後に
- 「建設住宅性能評価書」が発行されます。
一般的に、これらの証明書類やローン利用に必要な適合証明書は、家が完成して引き渡しを受けるタイミングで施主様に渡されます。これらの書類は、地震保険の割引手続きや住宅ローンの金利優遇の手続きに必要となる大切なものです。引渡しの際にしっかりと受け取り、大切に保管してください。







